海賊王に憧れて、火の鳥と一緒にヨットで日本一周してるバカだけど【中部・近畿】
1:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)18:38:0378n
海だっ!
船出だあ!!


あらすじ
おれはこれまでに砂漠や熱帯雨林、草原や雪山で冒険してきたから、次は海だ!と考えて、船で日本一周をしようと計画して、船舶1級と気象予報士資格(あとは2年前に取った船舶衛生管理者もこの冒険を見越してのものでもあった)を取った

船室やエンジンの付いている中古のヨットを30万円で買って、操舵の練習をして、船での暮らしにも慣れた

さあいよいよ、ここ静岡県(伊東)から、日本一周の始まりだ!
 



2:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)18:44:4078n
まず、航海の話をする前に、紹介しないといけない奴がいる

おれのこの船旅の相棒、ナナクサインコのほむらだ



ほむらは、1年ほど前からおれがアパートで飼っていたインコで、船で暮らして準備をしている間はインコの飼育経験のある友人に預かってもらっていた

体重や糞の頻度、振る舞いなどで、船での生活にストレスを感じているようなら下船させようとは考えていたけど、ほむらは驚くほどの適応力を見せつけ船内の生活に馴染んだので、相棒として連れて行くことになったという経緯がある

今回は海賊王に憧れたということでコンセプトを海賊にしているので、海賊っぽい動物を仲間に引き入れたいとは考えていた
友人たちからはワンピースっぽくトナカイは?と冗談で言われたりしたが、23フィート(7m弱)の船で飼えたとしても運動不足で可哀そうだし餌の問題もあるので却下だ

おれのイメージでは、海賊というと船長の肩には派手なインコやオウムが乗っていた
本当かどうかは分からないけどその昔、南米の珍しいベニコンゴウインコなどを肩に載せることで「おれは南米まで航海したんだ」という権力の誇示に使われたという話もある


ナナクサインコは、暑さだけでなく寒さにも強く、日本で屋外で飼育することも可能だと言われていて環境の変化に強い種だ
話すことはできないが綺麗な声で鳴き、あまり人には懐かない観賞用のインコらしい


前スレ
海賊王に憧れたから、小さい船買って日本一周しようとしてるバカだけど
4:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)18:49:4469E

今どこ?!w



7:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)19:43:4578n
>>4
正確な位置までは内緒だけど、四国の西側らへん!



9:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)19:51:1069E
>>7
あれ まだ九州じゃないのか

かなり足止めされてるね

そーいえば
今日も宮崎は雷雨だったか



11:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)19:58:0578n
>>9
もうこの港来て1週間なんだが…
今港のすぐそばでは3m以上の波が出てるからここ(港の一番奥)もそこそこ波あって船揺れてる

次の港(島)ではサバイバルやるし、法的に愛媛の方からじゃないと九州渡れないから九州はまだまだだろうなあ



3:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)18:47:5378n
ほむらが船に乗れるかどうか、おれがテストした内容↓

https://www.youtube.com/watch?v=W2kibc8w4KM


簡単に説明すると、
・3日ほどかけて、船の揺れに対して驚いたり普段と動きが変わったりしないか、停泊時及び航行時について評価

・体重の増減や食事、トイレのおおよその頻度など、できるだけ客観的な内容で評価したつもりだけど、おれ一人だとほむらを連れて行きたい気持ちから判断を無意識にゆがめてしまうかもしれないので、友人(インコの飼育経験があり、思った事をはっきり言うタイプで、
さらにほむらを預かってもらっていたのでほむらの普段のようすについても知っている)に船に同乗してもらい、ほむらのようすに異変が無いかを二人で確認

・乗船する場合、暑さに対してはケージ内のプールでの水浴びと、それでも排熱できないほど暑い事態が発生した場合はそれに加えてUSBのミニ扇風機を使って気化熱により体を冷却
寒さに対しては、AC100Vのポータブル電源(太陽光で充電可能)を持ち込んでいるので、60Wのペット用ヒーターにて対応(ただしあまりにも寒い環境になった場合はほむらだけ早期下船を検討)
上陸時など一時的にほむらから離れる際は、常時様子を確認できるようネットワークカメラを使用(この為にSIMを2枚契約したのでテザリングで実現可能)



ほむらはエンジンをかけた際、最初の5分ほどは口を開けて少し緊張しているようだったけど、その後は何の動揺も見せず、航行中ですらケージ内でこちら側へ来て頭を上下に振ってアピールし、遊びか餌を要求し始めた

そしてその夜、緩やかに揺れる船内でほむらがきちんと寝れているかを数時間ごとに起きて確認しに行ったが、何の問題もなくいつも通り寝れていた

やはり人間と違い、木の枝にとまって休むこともある鳥類は揺れに強いのかもしれない
ほむらは驚くべき適応力を見せてくれたので、今回の冒険の相棒として迎えることが決定した




6:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)19:03:1078n
4月23日、出発の朝4時半ごろ、緊張しつつ準備をする

現在地は伊豆半島東側の伊東なので、今日は伊豆半島の西側にある前崎町まで行きたい
前崎町は、海洋冒険家の白石康次郎さんが観光大使に任命されている町で、白石さんが世界一周に向けて出発したり、ヨットを改修した土地でもある

前スレで書いた「アンチボートの風潮」がどの程度かというのが今回一番のネックだけど、前崎町ならもしかすると冒険家に対して寛容な町かもしれない
(ごめん、動画編集で使った町の位置とかの素材消しちゃったからまた作るのは大変すぎるし、町の位置とか気になる人はググるか動画版見るかしてくれると助かる)


天気は曇天

昼頃にはもう少し晴れるはずだ
海も少し荒れているけど予想の範疇で、テスト航行の時と同じくらいだろうか

出発直後、港から離れた場所で帆を上げようと作業を始める
港で出航前に帆を張るのはマナー違反だと教わっていたので、ヨットでは出発後に移動しながら帆を張らないといけないらしい

簡易的な帆であるジブセール(ヨットの前側の帆)は後回しにしてメインセール(ヨットの後ろ側の大きな帆)を上げようと、マストに繋がっているロープを引いたところ、なぜか途中で引っかかり、それ以上上がらなくなった

なんだろうと思い上を見上げると、すぐに原因が分かった



8mほどあるマスト(帆の支柱)の出っ張った部分にセールのワイヤーが絡んでいた

下から引っ張った位では全く取れそうにない
高い波の影響で船は大きく揺れていて、船の前側に叩きつけられた海水が時々甲板まで上がってきている



8:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)19:48:233zF
ロープが引っかかって帆が変になったら怖いよな


11:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)19:58:0578n
>>8
帆が下げれなくなったりしたら全く舵きかずに流されると思う笑



13:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)20:30:43CnJ
相変わらず動物に対しての対応がしっかりしていて
それを細かくきちんと前置き説明してくれるから
同じインコ飼いとして安心して読めます

良い旅になりますように



18:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)20:51:3878n
>>13
ありがとう
でもおれインコ飼ったの初めてだから、何かアドバイスがあれば教えて欲しい!



14:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)20:31:5069E
港に係留して動けない日も
船長は船で過ごすの?



18:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)20:51:3878n
>>14
うん、ほむら(インコ)が心配だし
外出中もほむらや船内の様子はネットワークカメラで確認できるけど、潮の満ち引きで船のロープの張りとかも変わるし
できるだけ遠出はしないようにしてる



16:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)20:37:5778n
…どうしよう、いったん港へ戻ろうか

このヨットのメインエンジンは船用としてはとても小さく、1辺が30cmの立方体に収まってしまうようなサイズで、最大で時速10km程度しか出ない
メインセールが張れないとなれば速度的にかなり制限される状況となり、長時間航行で様々なリスクが発生する


…いま港に戻ったら出発が明日以降になってしまうから、危険でない範囲で何とかしよう!

おれはそう決めて、船が大きく揺れる中、マストに登ってボートフック(主に離着岸時に陸との距離を調整する為に使う棒)を使ってワイヤーをほどく
先端だけの写真だけど、ボートフックはこんなん↓



船は揺れてはいたものの、捕まる力や引き寄せる力はキックボクシングの首相撲(相手の体勢を崩して顔面に膝蹴りを入れるための組み技のようなもの)で鍛えていたから、そこまで心配ではなかった



17:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)20:49:503zF
遭難して自分の足食わないように願ってる


20:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)20:56:59eot
>>17
ゼフ乙



24:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)21:24:0378n
>>17
未来ある料理人見習いの少年と一緒に漂流したら自分の足食うわ



19:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)20:53:49Qby
知らないうちに新章に突入してた


24:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)21:24:0378n
>>19
まだ出発したとこだから大丈夫



21:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)21:01:3278n
こうして、メインセールとジブセールを張って今まで通りの通常の航行を開始
しかしその数時間後、今度は風が強過ぎることで問題が発生した

伊豆半島の先端に近づくにつれて、風が船を押す力が無視できないレベルになってきて、船が大きく傾きまっすぐに進まなくなってきた



本当は前回テスト航行の目的地だった白浜か下田で休もうと思っていたけど、海上で休むのは難しいレベルで波と風があり、また追い波だったので減速するのは却って危険だ

船が一番転覆しやすいのは、後ろから来た波に持ち上げられてしまった時だ
ヨットは船底にキールという金属の板があるので漁船よりは転覆しにくいけど、油断は禁物だし、船のサイズ自体が小さい(7m弱)ので高い波だとキール関係なしにひっくり返ってしまうかもしれない

陸揚げした時のおれの船 ↓ 船底の後ろ側に、メインエンジンで使うちっちゃいプロペラが付いてる



そしてさらにその後、伊豆半島の先端の辺りでメインエンジンが動作不良となった
最初は海流の影響かと思ったけど、進む方向を変えても改善しないから違うだろう
波が高いせいかとも思ったけど、波の高さが少し穏やかになっても船は1ノット程度(時速2キロ弱)の速度でしか進めない状態だった

…まずい

オートパイロット(自動で舵の方角を固定してくれる装置)も力不足で舵を取り切れず、船はほとんどまともに進めず大波に煽られるだけの状態になってしまった



22:名無しさん@おーぷん: 19/05/20(月)21:09:25eot
さっそく漂流か


24:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/20(月)21:24:0378n
>>22
この船簡単に舵きかなくなり過ぎ笑
海流や波風無くても時速10km以下しか出ないエンジンだから強い潮流あると詰むし

まあそれがいいんだけど



34:名無しさん@おーぷん: 19/05/21(火)07:18:16jfo
お金のほうが大丈夫じゃないかも知れないな


36:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)09:08:01h1Y
>>34
連載はあるとはいえ働いてないしな
今年はもう冒険しかしないから普通に金やばい笑



37:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)13:42:03Q1s
サブエンジンと併用できれば速くなると考えてサブエンジンをかけようとする
…が、こちらも不調
最初一瞬はかかったがすぐに止まってしまった

サブエンジンのトラブルシューティングは元オーナーさんから教わっていたので最初から始動手順を繰り返したが、何度エンジンをかけようとしてもかからない

だめだ

少なくともこの速度じゃ松崎町までは行けない
最寄りの港に寄るべきだ

防水のスマホを出して地図を見ると、大瀬漁港とある

よし、ここにいこう
中々進めないながらも舵を切りゆっくりと港を目指す

こんな中でもほむらは優雅に片足を上げ毛づくろいをしたりいつも通り餌を食べたりしていたから、やっぱり揺れに対する対応力が人間のそれとは根本的に違うのだろう
また、この船は縦長で主に横に揺れるが、ほむらは左右に揺れても踏ん張れるちょうどいい止まり木を見つけ出したみたいだった


そしてその後、まともに進めない状態で懸命に舵を取っていると、なぜか急にメインエンジンが復活し、これまで通りの速度で進めるようになった
休憩がなかったせいでオーバーヒートでもしたのかと思ったけど、急に直ったところを見るに、プロペラに何かが絡んでいたのかもしれない

とはいえ、予想以上の風の影響など、不確定な要素が多すぎる
今日の航海は失敗だ

エンジンが直ったからといって無理に松崎町まで行こうとはせずに、この大瀬漁港に寄った方が良いだろう

そして、港へ到着
母港(伊東)以外の港を訪れるのはこれが初めてだ

大瀬漁港は、周りを岩場に囲まれた港で、誰もおらず、数台の船がぷかぷかと浮いている

岸壁への係留も初めてなので、時間がかかりつつもなんとか岸壁に繋ぎ、誰かいないかと辺りを見渡す
ちょうど漁船が出航しようとしていたので大声で声をかけると、おれが係留した岸壁の場所を所有している木田さん(仮名)という方に連絡を取ってもらえて会うことができた

木田さん「おいおめえ、岸と船がそんなに近いと船が砕けちまう!
俺のアンカーつかってええから繋げぇ
俺の船は陸揚げしてっから、停めといてええぞ」

木田さんは口調は荒っぽいがとても優しい方で、右も左も分からないおれに安全な係留方法などを教えてくれた

そんな訳で、ひとまず岸壁に係留することができて、木田さんの車に乗せてもらってガソリンスタンドにて軽油の補給もすることができた
村には雑貨屋も兼ねている小さな酒店があったので食料の買い出しもすませて、船内の寝床で寝袋にくるまる

今日は初日ながらトラブルだらけだったけど、何とか寄港することはできたから、明日以降はこの経験を活かしてもっと安全に航海できるだろう
元オーナーさんからは母港ありきの基本的なことしか教わっていないから、まだまだ学ばないといけないことはありそうだった



38:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)17:58:05Q1s


写真は大瀬漁港

次の日

向かうは駿河湾の反対の側の御前崎だ

あそこまで行けばその後はアンチボートの風潮は無いとハシダさん(仲介業者さん)が言っていたし、そもそも気象状況的に静岡西部の東西にのびる海岸線を渡れるのは、明日までだった
それを逃すと駿河湾で何日も過ごす羽目になり、係留場所にも苦労する気がする


そして出発後、しばらくして船が横に揺れ始めたが、昨日の揺れやエンジントラブルに比べると大したことはない

ちなみに現在おれが使っている帆は、後ろのメインセールは少し小さく畳んであり、前のジブセールはストームジブという名の荒天用の小さな帆を使っている

いきなり大きな帆を使うのはよくないだろうと、元オーナーさんから指導があったからだ



その後、この日は特に大きな問題もなく、目的地の御前崎に到着

ここには御前崎マリーナという有料のスペースがあるらしいので、そこにとめることにした


マリーナの入り口
ここに限らずほとんどの港では、赤と緑の目印でどこから入ればいいかを示してある



どうやら御前崎マリーナは一泊2000円らしい

そして、明日は17ktの西風が吹くそうなので休みにし、このマリーナで過ごすことにした

コンビニやガソリンスタンドは3kmほど離れていたが、歩けないほどの距離じゃないから食料と軽油の補給を行う

そしてコンビニに隣接する施設に食事処があったので、かつおづけ丼を注文!



こんな事をしていたらすぐに貯金が底をつきそうだけど、お金は使うための物だから仕方ない
金が無いながらも1つの港につき1食だけでも何か現地の美味しい物を食べることにした
やはり新鮮なのだろう、めちゃくちゃうまい!!

冒険初日の動画↓

https://www.youtube.com/watch?v=ih0HIEck2-0


二日目の動画↓

https://www.youtube.com/watch?v=widGHBIU7NA



40:名無しさん@おーぷん: 19/05/21(火)20:21:04c4v
ほむらを愛情たっぷり可愛がって、ほむらも豪ちゃん激Love?になってもずっと一緒に居られないなんてほむらが可愛そうやー!涙
ほむらはすでに豪ちゃん大好きに見えるし…
なんで1年前にほむらを飼い始めてしまったん?



41:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)20:55:16Q1s
>>40
ほむらがペットショップに来た時から引き取る日までの1か月くらいは、毎日仕事終わりに餌あげに行ってて店員さんに苦笑いされたっけ…
飼い始める前から里親になってくれる知人とは話し合った上での事なんだ
ほむらの事は大好きだけど、ダメなんだよ…
おれそのうち死ぬ可能性高いから

幸いほむらが人に慣れてるってのは友人で確認済みで、おれ以外の人間の手にも気にせず乗るから、新しい里親さんが誰になったとしても愛情があれば懐くと思う



45:名無しさん@おーぷん: 19/05/21(火)22:20:04c4v
>>41
そうかぁ…
じゃあ、冒険はもちろん、頻繁に旅行とかしない里親さん見つけてくれ
犬や猫の里親条件と同じように、生活の変化があまり無さそうな人が良いと思う
持ち家、子育て落ち着いてる、安定収入…みたいな
もっと理想を言えば、治療費も当たり前に負担してくれる人じゃないとダメだと思うけど
(鳥の獣医って多くないから、お金以外の問題でどうにもできないケースも考えられるが…)



46:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)23:08:17Q1s
>>45
今回から動画始めたのはそういう目的もあるからなあ
今のところの仮の里親さんでももちろんいい環境には違いないんだけど、できるだけより良い環境を探すよう努力すべきだと思うし
ほむらの里親についてはおーぷんでも宣伝する



42:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)21:18:17Q1s
そしてその二日後、できれば愛知県まで行きたいと思って出発した者の、出発直後、エンジンの回転数が急に落ちてそれ以上あがらなくなった
最大時速は4kmだった

…またエンジントラブルかよ!
急にエンジンの音がゆっくりになったので、船底のプロペラに何か絡んでしまったのかもしれない
初日にこの症状になった時は一時間ほどで改善したのでそのまま航行を続けるも、今回は何時間経っても一向に直る気配がなかった
これじゃあ予定していた目的地(愛知県の赤羽根漁港)までは行けないだろう
諦めて、最寄りの福田漁港というところへ行くことにした

ただし、最寄りといっても20kmほど先だ
何時間もかかる
……戻ろうか?
いや、戻った方が少しだけ近いけど、それにしてもかなり時間がかかるのは変わらない

進むことに決め、西へ向かうも、この日は西風がとても強い日だった
さらに波も立っていたので、すぐにまたオートパイロットが使い物にならなくなった
自分で舵を取って進まないといけない
予想していた通りの気象状況だけど、風がどんどん強まり、その影響で、福田漁港目前で時速が1,2kmしか出なくなってしまった

福田漁港に就く前に西風との根気比べをしないといけないらしい

横から大きなうねりの波も来ていて、一回の波で船は煽られ大きく右へ左へと揺れる
まっすぐ進むことすらままならない中で、何とか一方向になるよう舵を押さえつけ、ジリジリと漁港へ近づいていく

…これ、おれの集中力が切れるか、あとちょっとでも風か波が強かったら流されるよな
そう考えて、アドレナリンが体を駆け回るのを感じる
そうそう、そう来なくちゃだなあ!

そうして航海すること2時間半

ようやく、福田漁港に到着



船を係留しようと岸壁へ寄せて作業をしていると、漁協の清水さん(仮名)という、そっけない雰囲気の方がこちらへ来た

清水さん「もしもし。作業が終わってからで良いから、この用紙に記入をお願い
母港と、船籍番号。あと名前や住所、滞在予定日数とか」

おれ「分かりました!
いやあエンジントラブルでまともに速度が出なくなってしまって…」

清水さん「そうなの。
船乗りはエンジントラブルでも何でも一人で解決しないといけないから大変ね
あなたは私が会ったヨット乗りでは最年少ね、頑張って」



写真は福田漁港にあった津波用の避難タワー


動画版↓
【リアルRPG 海賊編10】船乗りが恐れる西風の中航海したら、海上でトラブル発生して全然進めなくなった【静岡県(御前崎~福田)】

https://www.youtube.com/watch?v=bidzScxcRng



43:名無しさん@おーぷん: 19/05/21(火)21:21:29AEJ
清水さんはツンデレか


46:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)23:08:17Q1s
久しぶりの銭湯気持ちよかった!!

>>43
まあ、そう言えなくも、ないか…笑



44:名無しさん@おーぷん: 19/05/21(火)21:39:006yY
なかなか読ませるね


46:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)23:08:17Q1s
>>44
ありがとう!頑張る!



47:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/21(火)23:25:48Q1s
しかし清水さんは、口では突き放しつつも、エンジンの点検をしてくれる業者さんの連絡先を教えてくれた
プロペラに何か絡んでいた場合は潜って除去してもらえるらしい

さっそく電話をかけてみたところ、明日の午前中が空いているとの事だったのでお願いすることにした

今回はおそらくプロペラに何か絡んでいるだけだとは思うけど、今後の事も考えて、この機会にエンジンの点検やメンテナンスについても聞いておいた方が良いだろう


船内に食料があまり残っていなかったのでコンビニへ行こうと田舎道を歩いていると、後ろから来た車がおれの前で停車し、清水さんが顔を出した

清水さん「どこ行くの」

おれ「あっ、コンビニに行こうと思います! あとガソリンスタンドで軽油を補充しないとなので…」

清水さん「ここからだと1km以上あるから、大変
コンビニまでなら乗せてあげる」

おれ「えっほんとですか? ありがとうございます!!」

清水さん「大変だろうけど、帰りは頑張ってね」


…あれ、清水さん、素っ気なくて冷たいと思ってたけど実はいい人なんじゃ…?



こうしておれはコンビニで買い物をして、それから近くにあった定食屋でサーモンといくらの親子丼を注文!



豪華すぎる!!
金が! 溶けていく!笑



49:ななし: 19/05/22(水)00:05:11hCI
今回も読んでいてワクワクする旅ですね!
初めてリアルタイムで読めて嬉しいです。



50:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/22(水)12:37:38hVe
ごめん、もしかするとしばらく更新できないかも


53:名無しさん@おーぷん: 19/05/22(水)15:13:47Ynq
ファッ!?


54:名無しさん@おーぷん: 19/05/22(水)18:28:0534X
悪天候が終わったから、出発できたかな?と思って来てみたら、更新ストップって何があったんだ!!


55:名無しさん@おーぷん: 19/05/22(水)18:31:5434X
Twitter見てきたけど、船が沈没の危機って旅が中止になるレベルの致命的なやつ?


57:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/22(水)20:54:00Ulq
もう何日も港から出てなくて天気も悪かったから、電気も余裕がなくなってきた

今夜は本気の一人作戦会議や情報収集するから、書き込めないごめん笑

そうだな、致命的な奴
この春馬丸を廃船にするのか、ほむらをどうするのか
ちょっと考える



58:名無しさん@おーぷん: 19/05/22(水)20:55:11diW
急展開やん


59:名無しさん@おーぷん: 19/05/22(水)20:56:1834X
マジか。。。うまく行くことを願ってるわ。
また進展があったら書き込んでくれ。



60:名無しさん@おーぷん: 19/05/22(水)20:58:04diW
冒険らしくなってきた


61:名無しさん@おーぷん: 19/05/22(水)21:03:2234X
漏電と何だ?沈没って事は浸水とか雨漏りか?もう筏組んで大海原に漕ぎ出すしかねーな


63:名無しさん@おーぷん: 19/05/22(水)23:54:01UoE
船底とかにFRPのクラックがあって少しずつ海水が入ってきてるのかな?
水分をたくさん含んだFRPはほとんどカットしないと治せないんだよね



64:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)00:34:55igm
まだ仮説でしかないけど、多分FRPの外装は傷付いてなさそう
船底の錆び付いたキール周りだと思う

問題は、ここじゃ陸揚げできないから、
ここで廃船にするか、
揚げて直す為に浸水した状態で原因不明のまま外海へ航海するか
の二択しかないってこと



67:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)01:19:19qCt
陸揚げして船倉に水溜めて行ったら
どこからか漏れていくんじゃないの?



69:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)01:36:548hd
>>67
陸揚げできれば浸水の箇所も断定できるみたいだけど、現在地の港では陸揚げが出来ないみたい。

?を数日預かって貰える人を見つけて、陸揚げできる港に向かうのが無難かな?



68:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)01:36:21AUN
>>67
その理論でいえば浸水してても見つけられる



70:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)01:45:25qCt
>>68
船倉はごちゃごちゃしてるから無理じゃないかな



71:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)07:33:55igm
とりあえず御所とかに舟納品したりもしてる最強の船大工さんに見てもらったら、揚げてみないことには原因不明だしそもそもこの外国船構造が特殊だから応急処置のアドバイスもできないって

てことで船大工さん(漁船メイン)だと直せないかもしれないし、さしあたっての応急処置するにしても一人でやらないと廃船確定

構造的に床下埋め立てるだけでいける可能性高いし同じ床下の別の場所で過去にそうした形跡っぽいのもあるけど、不可逆だから最後の手段として別のアプローチ考えてる

詳しい状況説明は長くなりすぎるからごめん



72:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)07:36:20yL6
コーキングを大量に買ってくるんだ!w


74:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)07:44:032rh
>>72
ああぁぁアレコーキングっていうのか
家の修理する会社やってた父親がよく使ってたな

浸水箇所の形的に今の状況ベストな気がするけど、アレ濡れてても固まるの?



73:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)07:36:38BlA


インコには何食べさせてるの?



77:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)07:52:402rh
>>73
黒瀬ペットフードのmania大型インコ用って奴がメインでその他はこんな感じ




85:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)09:17:322rh
まさか船大工さんからアドバイスすら貰えないとは思わなかったw
航海計画は大事って話してたのに海でエンジンとセール併用するヨットの進みかたは強く否定されてて帆だけじゃないとおかしいって話されてたし、ぱっと見ただけで「何年も勉強してから出直し」って仰ってたし、多分ヨットや冒険が好きじゃない方だった気がする笑
まあ他の船大工さんなら何かできたかっていうと多分変わらないと思う
可能性があるとすれば、マリーナとかヨットの施設当たるしかないな

いまは素人日曜大工で凌ぐしかないわ



87:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)10:22:29qCt
本当にDIYなら温泉の水漏れ修理と同じでいけると思うんだよね


89:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)10:37:102rh
>>87
何それ詳しく
温泉旅館の管理してた腐れ縁奴いるから聞いてみようかな

とりあえず近所にでかいホームセンターがあるから店員さんに相談してこんなん買ってきた



問題は漏れてる場所(多分針くらいの大きさ3箇所)が影に隠れててほぼ見えないことなんだよな

個人的にハンマーで周り割ってはっきりさせたいんだけど、それこそ穴あいて一瞬で沈むかもしれないから我慢してる



90:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)10:39:41qCt
>>89
陸揚げして船倉に水溜めて、どこから漏れてくるか確認する。ナイトスクープでやってた
ナイトスクープに依頼出してみたら?
ネタになりそうだしウィンウィンじゃね?



93:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)10:44:572rh
>>90
もうやってたならネタかぶりだしダメだろうな笑

そうそう、陸揚げさえできれば仮に浸水箇所の特定に至らなかったとしても色々やりようがあるんだけど、ここじゃできないからなあ



99:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)17:43:540zO
マリーナのドック借りることが出来れば良いのだけれど

船を吊って陸に上げるのにも金がかかるし…
船を上げる船台も借りると金がかかるし…

水圧はものすごいから
マジで米粒くらいの穴でもシャレにならんぞ



101:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)18:59:272rh
>>99
春馬丸があと一回航海に耐えてくれれば借りれるかも
お金はかかってしまうけど、冒険中だって考えると、問題が起きて悩む今日も二度と来ない大事な一日だし、あまり気にしない
数十万かかるとかならさすがに話変わってくるけど、陸揚げの相場は8000円くらいだって元オーナーさんが言ってたし、目的地の施設もよほど変則的なキールでなければその値段でって言ってたから大丈夫そう

99さんはヨット乗り?



103:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)19:43:44tmr
とりあえずさしあたっての対策とか今後の方針が固まったから、静岡県の話続ける
出来れば明日までに完結するとスムーズだけど、動画編集もしないといけないから間に合うかなあ…

つづき

強い西風とエンジントラブルになりながらも何とか福田漁港へ寄港できた、その次の日、船底のメンテナンスなどをメインに行う業者の寺川さんという方が来て、海中へ潜りプロペラの様子を見てくれた(以後個人名は全て仮名)

寺川さんは船底のプロペラ付近でしばらく作業をしていたかと思うと、大量の茶色い海藻をこちらへ放り投げた
やっぱりプロペラに物が絡んでしまっていたようだ



寺川さんによると、正確な分類とは違う場合があるが、漁師の間では通称ホンダワラと呼ばれている物が絡んだらしい

その後エンジンをかけてプロペラを回してみたところ、いつも通り好調な音がしたのでこれで解決したみたいだ

…とはいえ、手でちぎれるような海藻が絡んだだけでプロペラの速度が落ちるとなると、先が思いやられる


そしてその日の夕方、寺川さんはおれのヨットの所へまた来て、ナマコの瓶詰めとワサビの茎と葉をポン酢で漬けた瓶詰めをくれた



ナマコを食べるのは初めてだ
見た目よりも硬く、コリコリとしているがポン酢とよく合っていてつまみに最適、という感じだ

航海中のおやつになる気がする



104:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)19:50:01BbQ
サバイバル感が足りない!

陸にいる時間の方が長い感じがするからかな



107:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)20:06:37tmr
>>104
ごめん笑
とはいってもおれサバイバリストじゃないし、この冒険もサバイバルや極限というよりかは問題解決の経験値稼ぎや出会いがメインテーマの冒険だからなあ…

筏で漕ぎ出したりってのは、日本だと出航直後に海保が飛んで来るから不可能w
帆走できる筏とかなら興味あるけどね
この船も速度遅くて海流に逆らえなかったり簡単にプロペラ止まったり浸水したりと、頼りなさはけっこう奇跡的にギリギリのバランスではあるんだけどな笑



108:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)20:09:39BbQ
>>107
そっかー

前になんでも食べる感じなのをみたような気がするのでサバイバルを期待してしまった
さーせん

今回のは慎重さとか戦略とか
そんな感じやね

そういうのはどうやったら
エンターテイメントになるんかなぁ



109:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)20:11:16tmr
>>108
あー、カメさんと野宿した時の話か

あれはおれのスレの中ではかなり特殊な奴だったんだ、すまん



110:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)20:15:42tmr
>>108
あとはまあ、意図的にエンタメは追求しないようにしてる

エンタメ突き詰めると話盛ったりヤラセしたりするのが圧倒的有利になるから、「死んでもいいからやりたい体験」(=冒険)が濁る気がするんだな
やりたいことやってそれをそのまま書いて載せて、ちょっとでも読みたいって人がいたら嬉しいな、動画ならちょっとは収益入るかもだし冒険費用の足しになるかな、…ってスタンス

あんまり興味なかったら申し訳ないけど、時々おーぷんや5chに立つバイク旅スレとか、そんな感じで見てもらえるとありがたい



105:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)20:00:25tmr
次の日
今日は三重県の避難港、和具漁港まで行きたい
かなり距離があるので、もし行けなければ途中の愛知県の港による予定だ

少しでも航海できる時間を稼ぐために夜明け前に出発



この日からはストームジブ(一番小さい帆)ではなくもう一つ大きいジブセールを使うことにした

メインセールは1ポイントだし(ざっくり言うと少し畳んだ状態)ジブセールももう一つ大きいものがあるので、メイン/ジブ共にあと一段階進化を残している状態だ

この日は北西の強めの風が出ていたので、うまく利用して13時間ほどで目的地に到着
係留を終え陸に上がれたのは夕方18時頃だったので、漁師さんや漁協や方はおらず、辺りには釣り人しかいなかった

そして、軽油を補給しようとガソリンスタンドへ行ったところ、営業時間内のはずたが閉まっていた
予定では明日も航海をしなければならないけど、どうやらこの町では軽油の補給先ができないらしい

まあ、燃料はまだまだあるし、あさっては風が強くて海に出ない予定なので、明日はできるだけ風を使いつつゆっくりと進めば大丈夫だろう



そう考えて港へ帰り着くと、港におれ以外にヨットが一隻とまっているのが見えた

…これは、初めてのヨット仲間ができるんじゃないか…?
今までの港やマリーナでは「最年少のヨット乗り」とはよく言われていたから年上の方だとは思うけど、どんな人なんだろう

期待に胸を膨らませつつ、船室の窓の部分を見ると明かりが点いていたので、ヨットの所有者はちょうど船内にいるようだ

少し話がしたいと思い、ヨットに向かって声をかける

おれ「こんばんわ!
僕もヨットに乗っている者なんですが…」

…と、おれがそこまで言ったところで、急に船内の明かりが消えた

しばらく待ったが、それからは一切音沙汰が無かった

ど、どうやら、居留守…ではなくて、きっと就寝の時間とおれの声掛けのタイミングがたまたま重なってしまったに違いない

ううむ、残念だ…

(ちなみにこのエピソードがあって以降、現在地の高知県まではあまり積極的にヨット乗りに声かけてなくて、トラブル真っ最中の今困ってる笑
まあおれは、どうしても必要な時しかコミュ力スキル発動しないコミュ障だから…)



106:名無しさん@おーぷん: 19/05/23(木)20:04:25qCt
相手もコミュ障だったりして


109:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/23(木)20:11:16tmr
>>106
たぶんそれ、あったと思う笑



123:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/24(金)16:06:02auw
つづき

そして、翌朝和具漁港を出発したおれは、和具漁港と潮岬の中間にある三木浦漁港へ

昨日軽油が補給できなかったから、できるだけ風を使って燃料を節約しないといけない
しかし、この日の海はこれまでに無く穏やかで、風もほとんど吹いていなかった
それでも少しでも風や海流の力を借りたかったので、エンジンの回転数は少なめでじっくりと航行
曇り空だったので海面に空が映り込み、水平線がぼやけてウユニ塩湖みたいだ



この辺りはあまり人がいないらしく、船も町も全く見当たらない



そんな何もない海域を何時間もゆっくりと進み、夕方日が沈む直前に目的地に到着

目的地の三木浦漁港は、遠くから見ると山しか見えず隠れていたが、入江に入った途端に突如として村が現れ雰囲気があった

立地的にはまさに隠れ家、秘密基地といった感じの漁港だ



岸壁に係留して、食料と軽油の補給先を探そうとしたものの、まだ日没直後だというのに村の明かりはほとんど消えてしまっていた

唯一、素泊まり宿の2階の窓から光が漏れていたので、情報収集も兼ねてダメ元で声をかけてみる

おれ「すみません! この辺りに雑貨屋さんはありませんか?
いまヨットで来たばかりなんですが、食料を補給したくて……」

おれがそう声をかけると、窓際にいたガタイの良い男性が「おうどうした、取り敢えず上がってこいよ」と返事をしてくれた

中へ入ると、部屋にはその男性以外にも何人もの男が座っていて、どうやら旅行者のようだった
今はGWなので、釣りをしにこの三木浦漁港へやって来たらしい

そして雑貨屋について聞いてみた結果、この村には今開いている雑貨屋は無いらしかったが、なんとその男性はおれにカップラーメンとおにぎり、そしてお茶を分けてくれた

おれ「ありがとうございます!!」



ありがたくいただき、感謝を述べつつその男性に名前を聞くも「名乗るほどの者じゃない」と返事が帰ってきた

…か、かっこいい!!

しかしその後、ノンフィクションで本を書いたりもしていることを話すと「中谷って人に食べ物を貰ったって書いといてくれ」と別れ際にリクエストがあった


…けっきょく名前言うのかよ!笑



124:名無しさん@おーぷん: 19/05/24(金)16:15:22r6G
>>123

旅ってこういう面白い体験できるよな



127:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/24(金)20:22:19auw
>>124
そうそう、飽きるとかないわ



126:名無しさん@おーぷん: 19/05/24(金)19:51:35oHb
>>123
これは抱かれてますわ



127:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/24(金)20:22:19auw
>>126
ねーよ笑



125:名無しさん@おーぷん: 19/05/24(金)18:24:11K5J
豪ちゃん、ほむらの画像プリーズ?


127:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/24(金)20:22:19auw
>>125
ほむう…










128:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/24(金)20:27:28auw
さらにその後、ヨットへ戻る途中に出会った旅行者の方が、「飲もうと思って持ってきたけど飲まなかったからあげるよ」とビールを恵んでくれた

おれはビールが大好物!
大事にとっておいて、ここぞという時の晩酌で飲もう!

ヨットへ戻って写真などの整理をしてから明日に備えて早めに寝ることにした

食料については恵まれていたが、この村にはガソリンスタンドがないようなので軽油については心配だ
明日以降なんとかしないといけない


そして次の日の朝、ヨットの外からこちらへ呼びかける声で目を覚ます

外では強めの雨が降っていて、レインコートを着たご老人がヨットを覗き込んでいた

ご老人「あんた、この三木浦は初めてじゃろ?
こんなトコにとめてたら波が来て揺れてしまう!
もっと奥のとめる場所教えたろ」

確かに昨日は外海かと思うレベルで船が揺れていた

GoogleMapの航空画像を見てここだろうと予想して係留したが、港にはまだ奥があったらしい

おれ「ありがとうございます! あ、あと軽油を入れられる場所はご存知ないですか?」

ご老人「軽油もないんか!
向こうの岸壁のホースから出せるからやり方教えたる
こんな若い人、助けたらなかわいそうや」

ご老人はそう言い、おれの船を誘導して軽油を補充し、入江の奥の、波が来ない場所まで案内してくれた

また、家へ帰るついでだからと村唯一の雑貨屋も案内してくれたので、食料を買い足すことができた


山々に囲まれたこの村の空気は美味しく、みな愛想が良く優しそうな人ばかりだったので、予定を変更しあと2日ほど滞在することに決定



どのみち潮岬で風待ち(今後数日は強い北風が吹くので北上が難しく非効率)で数日足止めになるので、せっかくならこちらで過ごした方が楽しいに違いない



129:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/24(金)20:34:10auw
さて、明日か明後日ごろまでは三木浦漁港に滞在することにしたが、一つ問題があった

食料だ

今はGW
村のあの雑貨屋さんはパンなどがほとんど無く、たまたまかもしれないが消費期限が当日のものが多かったので、もしかすると数日に一回しか仕入れをしないのかもしれない
そうなると、おれが食料をたくさん買ってしまうと村の人が買う分がなくなってしまうだろう

というわけで、おれの船に積んである食料は尽きてしまっていた
もちろん非常用の備蓄はあるが、それには手をつけるべきではないだろう

戸棚を漁り、何か見落としている食べ物はないかと探してみたところ、チューブで出せる小エビが出てきた
「アミ姫」と書いてある
アミエビという奴だ

ああ、小エビは貴重な食料……ではなく、これは魚の餌にできるものだ

食糧難だし、やるしかない!


というわけで、おれは釣りをすることにした

今まで魚釣りは5、6回やったものの魚が釣れたことは無く、魚釣りというのはおれの中ではもはや都市伝説のような不可解で不可能なものとなっていた

とはいえここならそこそこの大きさの魚影がいくつか見えたので、釣れるかもしれない
サビキという針に飾りが付いていて小エビの様に見える仕掛けを使い、魚を待つ
竿を上下させることでアミエビが海中に広がりそれを見つけた魚が針にも食いつくという仕組みらしい

動画↓
【リアルRPG 海賊編11】居心地のいい自然豊かな村で過ごしてたら食糧難に陥った(前編)【静岡県(福田)~三重県(三木浦)】

https://www.youtube.com/watch?v=QeCgKsWnRHQ



130:名無しさん@おーぷん: 19/05/24(金)21:42:18zsE
お、あのときの魚か


168:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/26(日)19:17:02cas
>>130
そうそう、ちょうどあの時三木浦漁港だったんだ



188:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/27(月)19:41:37kk5
しばらくしても釣れなかったので試しに魚群探知機をつけてみる

おかしいなあ、魚の反応がたくさんある…
釣れないから、魚探が壊れているのかもしれない…などと考えつつ釣りを続けていると、急に竿がビクンと震えた

おぉ!!なんかかかった!

緊張しつつ、ゆっくりと引き上げる



なんて名前の魚かはわからないけど、釣れた!!

さっそく魚を海水と共にバケツに入れ、どんどん魚を釣ろうと釣りを再開しようとしたが、リールを回して糸を引き上げた時に仕掛けの金具が外れて、おもり付きのカゴもろとも海底に沈んでしまった

ああ…、カゴの予備が無いから釣りは中止だな…

仕方ない
潮岬でまた何か仕掛けを買うまで釣りはお預けだ

ちなみにおーぷん2chで相談したところ、この魚はスズメダイという魚らしい
今日は令和元日だからけっこうめでタイ感じだ

という訳で、そのスズメダイを調理しようと包丁を準備したが、ここである考えが頭をよぎった

…あれ、わざわざ今食べなくてもいいんじゃないか…?

せっかく魚が生きてるんだから、非常食ってことでとりあえず水槽に入れておくのはどうだろう…

非常用の缶詰なら船内に積んであるし、それを食べて飢えを凌げばいいんじゃないか…?

この魚を非常食扱いして生かすなら、水槽を泡立てるブクブクが足りないな…
あれは水流を作ったり水面を波立たせて空気を水中に取り込む役割がメインだから、ミニ扇風機の風を水面に叩きつければ水槽上部に空気は溶け込むだろうし、その場しのぎにはなるかもしれない

あ、あとアミエビも少し入れておこう…



動画↓

https://www.youtube.com/watch?v=J38xeOOaZ1E



189:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/27(月)22:07:28kk5
次の日

朝置きてもまだまだ魚は元気だったけど、昼過ぎ頃弱ってきて横向きになり始めた

刺激を与えても反応が薄い

…うーん、やっぱり即席の環境だと限界があるみたいだ
新鮮な内に食べることにしよう

ちなみに、スズメダイを釣った後に改めて戸棚に何かないか探したところ、使いかけのパスタを50gほど見つけたので、ごま油と塩コショウで魚を味付けしてパスタの具にすることにした
ブロッコリースプラウトもいい感じに育っていたので添えてみる



魚の骨は硬かったけど、身はふんわりと柔らかく、味はやっぱりタイだった

明日の航行中の昼飯だけは確保してあったので、食糧問題はこれで解決したも同然だ

昼過ぎになってからはドローンや一眼を使って撮影をして、写真や動画の整理/エンコードなどをして過ごした

さて、数日にわたる三木浦漁港の滞在も終わり、明日は本州最南端、潮岬へ向けての航海だ
元オーナーさん曰く、潮岬は伊豆半島の先端と同じく海が荒れやすいと言われている

近畿に入ってからは海が退屈なほど穏やかだったので楽しみだ



195:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/28(火)00:53:26NGz
そして、荒れると言われた潮岬の先端に到着し、舵を大きく切って進路を南から北へと変える

しかしこの日の潮岬は、気象条件も良かったんだろうけど、とても穏やかだった

…かなり物足りない

何かトラブルでも起きないかなどと不謹慎なことを考えてみる
エンジントラブル(というかプロペラのトラブル)はもう慣れたから次はマストが折れるとか…


そしてそのまま何事もなく、潮岬の有田漁港に到着

いつも通りの軽油の補充以外に、今日はエンジンオイルも補充しないといけない(本来は全交換すべき)
朝確認した時にはエンジンオイルが少なくなっていたので、どこかで売っていないかと町へ行って探し回る

元オーナーさんによると、40番か10W-40というものしか使えないらしい
探してみたが、ガソリンスタンドでもホームセンターでも、ディーゼルエンジン用のオイルは10W-30というものしか無かった

ウカイさんに電話をかけてみる

おれ「ウカイさん(元オーナーさん)、10W-30しかないですね…。これ入れて動かないですか?
ディーゼルエンジンってそうそう壊れないんですよね?」

ウカイさん「少し足すだけなら一時的に凌げるけど、それを使い続けるのはダメだなあ。40じゃないと」

町では手に入らなかったので港に戻り、さっき知り合った漁師さんに相談してみる

すると、野ざらしで放置されているヤンマーのエンジンオイル40番というものを貰うことができた



漁師さん「40なら、これ僕のだけど使いなよ。まだ使えるし2Lくらい残ってるから
値段は分からないしお金はいらない」

いやあ良かった、助かった!

また、港で出会った渡し船の尾賀さんという方が、食べ物や飲み物を船へ持ってきたり釣りのアドバイスをしてくれたりと、とても親切にしてくれた
尾賀さんによると、ワームとルアーを組み合わせると魚の注意を引きやすいらしい



そして、先ほど漁師さんから貰ったエンジンオイルをエンジンへたっぷりと補充


そして、エンジンをかけて試運転!

…したところ、エンジンの回転数がいきなり急激に上がり、その後一気に停止して勝手にエンジンが止まった

エンジン室をのぞき込むと白い煙が出ている


あ、あれえ……



197:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/28(火)01:09:40NGz
少し待ってから恐る恐るもう一度エンジンをかけてみたが、結果は全く同じだった
白い煙がエンジンの中心付近から漂い、何かが焦げるような匂いもする


なぜか(…というか原因はエンジンオイルしか考えられないけど)、メインエンジンがまともに動かなくなってしまった

原因を探るべく、先ほど貰ったエンジンオイルを少し出し、明るいところでよく見てみる



うわあ…

ディーゼルエンジンのオイルなんて見たことが無いから正しい色は分からないけど、それ以前に気泡みたいなの混じってるし、透明じゃないし、どう見てもこれダメな奴だ


そして、エンジンに詳しい方にチャットで相談してみたところ、どうやらこれは水が混ざっている状態のようだった

エンジンを直す為には、エンジンオイルを一旦全て排出して新しく入れなおすという作業を何回も繰り返す必要があるらしい

修理に必要な、ポンプの役割をする手回しの道具が無かったので、業者に依頼するしかない

ただし、今はGW中だから漁協や整備業者は休みだ
GW明けまであと3日ほど

それまで潮岬で足止めになってしまうかもしれないけど、できれば何とか一日でも早く解決したいところだ



200:名無しさん@おーぷん: 19/05/28(火)01:50:42GLS
30とか40なんて粘度だし気温でも違うし
30でも大丈夫っしょ
逆に不純物が混じって40に近づいていくよ



201:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/28(火)01:54:30NGz
>>200
今ならおれも知識あるからそう言えるんだけどなあ…
漁師さんやヨット乗りが言うなら間違いないと思ってしまったんだな笑



204:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/28(火)02:10:38NGz
そして次の日の昼、ダメ元でヤンマーディーゼルの店へ行ってみることにした
メインエンジンはヤンマー製なので、正規店の人なら直せるに違いない

店までは5kmほどあったけど、歩いて行くしかないだろう

途中でご当地牛乳を買ったりして休憩しつつ、ヤンマーの店に到着



GWなので予想通り店は閉まってはいたけど、その時たまたま近くにいたダイバーショップの谷村さんという方がメカニックに連絡を取ってくれて、結局次の日の朝修理してもらうことができ、エンジンは復活した

手回しのポンプでエンジンオイルを全て抜いてから新しいものに入れ換え、エンジンを回して馴染ませまた抜く…という作業を3回ほど繰り返し、エンジン内を綺麗にした上で、オイルエレメントというオイルフィルタを交換すると、エンジンは好調な音でかかるようになった



また、エンジンオイルは10W-30のオイルでも問題ないとのことだったので、今後は補充したり買い足したりが簡単になるだろう


その後、潮岬先端へ行ってドローンを飛ばしたり時雨煮丼という美味しそうな丼を食べたりしつつ観光メインで過ごす






動画
【リアルRPG 海賊編13】あまりにも海が穏やかだから何か起こらないかって考えてたら…【三重県(三木浦)~和歌山県(潮岬)】

https://www.youtube.com/watch?v=-3QlCcP9UiY



205:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/28(火)02:49:18NGz
そして修理した日の翌日に潮岬を出発して、近畿最後の港、和歌山県阿尾漁港へ

修理したばかりのエンジンが好調でスムーズに進めて時間が余ったので、エンジンを止めてセールでの帆走のみに切り替えたところ、3~4ノット程度の速度が簡単に出た

帆走だけだともっと遅いと思っていたけどこの船のメインエンジンに近いくらいのスピードが出るので、今後は帆走のみというのもアリあもしれない


…ただし、明日、四国に入ってからの3日ほどはその辺りを実験する時間が無くなるだろうから帆走のみにするとしてももっと後だろう
というのは、四国編の最初の三日だけは同行者がいたからだ

【リアルRPG 海賊編14】帆走に挑戦 / 数日だけ乗組員が増えます【和歌山県(潮岬~阿尾漁港)】

https://www.youtube.com/watch?v=OLx8kVdHOxo


同行者の名前はシンヤ君と言って、以前おれに「海外で馬に乗って野宿旅がしたい」と相談をしてきたことで知り合った子だ
その後、彼はモロッコにて馬と300kmの野宿旅を成功させている

その彼が、何でもおれのこの船での冒険にどうしても同行したいらしい

おれは人見知りな上、動物と違って人間(=自分の責任において判断し行動できる存在)にはあまり力を貸すタイプでは無いから同行に肯定的ではなかったけど、モロッコの馬での冒険を成功させているという彼の根性を見込み、来ても良いと返事をすることにした

航行中はやることがあまりない事を説明するも、何か役割が欲しいとの事だったので、船やホンダワラ等の見張りとか、目的地までのルート決め(航行区域外でないか、危険な岩などが無いかなど結構しっかりやらないと危ない作業)とかをやってもらおうかと思っていた


そのシンヤ君と、この和歌山県の阿尾漁港で合流して四国へ向けて出航!

この日は風が強かったので、風に応じて帆の調整が必要だ
せっかくなので全部おれ一人でやらずシンヤ君に頼んだ方が良いかと考え振り向く…と、シンヤ君は船酔いでダウンしていた

まだ出発して1時間経ってないし、到着まであと数時間このまま乗ってるしかないけど、大丈夫なんだろうか…


おれ「あー、酔った?船室内で休むことできる?」

シンヤ君「中はもっと酔うので無理ですね」

(…というか正直、航行中は見張りやオートパイロットの操作、帆の調整などであちこち動き回る必要があるので、狭い空間に人が一人いるとけっこう難易度が上がる
突風時は帆の調整が一刻を争う時があり、遅れると海へ投げ出されてもおかしくない程船が傾いてしまって危なかったりする)

という訳で、リアルRPG的には仲間が増えたかと思いきや、早くもシンヤ君は戦闘不能になってしまったらしい

3日だけとはいえ、船酔いする人がこのヨット乗るって大丈夫なんだろうか…


こうして、静岡から出発して中部、近畿と航海してきたこの冒険の四国編は、強風と不安を伴いつつ幕を開けた

【つづく】



206:1◆0sA8GVLJwJ07: 19/05/28(火)02:50:16NGz
今回の話はここまで!

また何か質問あれば答える!



202:名無しさん@おーぷん: 19/05/28(火)01:59:02GLS
まあ失敗してまた経験値稼げたんだからいいよな




引用元:http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/5061295.html

海賊王に憧れて、火の鳥と一緒にヨットで日本一周してるバカだけど【中部・近畿】